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トレントとして問題をとらえること、そこに潜在的問題点摘出のカギがあります。
前述した戦略経営で環境予測、自社保有資源の把握と分析、戦略策定といったことが、自社分析に深い関係を持ち、経営改善につながります。
ここでは自社分析を中心に説明しましょう。
自社分析は経営の改善が目的です。
企業は財貨あるいは用役を生産供給し、しかも効率よくそれを実行する使命を持っています。
そのための人間集団が会社です。
願わくは、この人間集団が生存し続け、しかも拡大してほしいものです。
そのためには環境の変化をキャッチし、適応していくことが必須条件となります。
人類も生物ですが、生物の種は適者生存という自然選択(環境が生存できる種を選択すること)の中にあって、自らを適応させてきたものだけが現在まで生き続けてきたといわれています。
会社も同じように環境変化によって常に選択されています。
環境が会社の生存権をテストしているといってもいいでしょう。
現代は激変の時代だといわれますが、何も変化は今に始まったわけではなく、常に変化があり、そのスピードや内容が大きかったり、小さかったりするだけです。
環境変化は常態であること、それに自らを意識して適応させるべきこと、それを怠った会社は環境によって押しつぶされる運命にあることを思えば、絶えざる経営の改善が必要だとわかります。
自社分析は潜在的な問題点の発見分析がスタートです。
国内外の文化、社会、経済、政治はいかに変化しつつあるのか、その中にあっていかなる財貨や用役が求められているのか、生産供給の基盤となるハードおよびソフトの技術変化は、といった企業外部の環境に目を向けることが、問題点発見の出発点です。
経営戦略を考える場合、市場、競争企業、自社の三者を同時に考えねばなりません。
自社の問題点発見というと、つい目が社内に向きがちですが、問題点発見の目的は環境変化への適応だと知っていれば誤りを犯すことはないでしょう。
環境はどのように変化しつつあるのか、それに対して競争企業はいかに適応しつつあるのかを知って自社を分析すれば、自ずと潜在的な問題点が見えてきます。
例えば基幹技術が陳腐化しつつあるとか、事業分野が成熟化してきたとか、業務領域の付加価値が低下しつつあるとかいったことです。
こうしたことは環境への不適応として結局、財務諸表に現れてきます。
過去数期間の損益計算書によって利益構造分析をすれば、売上の伸びの鈍化、売上原価率の上昇、利益の伸び悩み等が生じているものです。
崖]の不適応は数字の背後にある事柄ですが、もろもろの事柄が総合されているのが財務諸表ですから、その分析によって潜在的な問題点を摘出できるのです。
財務諸表(損益計算書、貸借対照表、資金収支計算書)から出発して潜在的な問題点を把握した時は、その原因として前述の環境変化と自社の不適応をとらえます。
景気の循環変動による業績悪化への対応と、構造変化による悪化への対応では質的に異なったものになります。
前者の場合は、効率化、費用節減が中心的対応策ですが、後者では長期、根本的、戦略的対策を要します。
現実には循環変動と構造変化が同時に進行しますから、具体的な対策は大変難しいものになります。
景気の悪い年には費用節減に力を入れなければならないのに、同時に戦略的費用を増加させなければならないといったことが起こるからです。
景気波動にも長期、中期、短期があります。
長期波動をコンドラチェフサイクルといい、約五十年ほどの周期ですが、現在(一九九一年)は下降過程にあると言われています。
この時期はπ(パイ)の伸びが鈍化し、その獲得をめぐって企業間競争が激化します。
それに勝つにはコストーパフォーマンスを上げねばなりませんが、同時にこの時期は次世代基盤技術の研究開発が行われる時期でもありますので、その費用増加が生じます。
一方では競争に勝つためにコストを減少させなければならない、他方では次世代のためにリスクの高い研究開発費を多額に支出しなければならないといった状況に置かれているのが日本の企業の全般的な姿です。
このような現況にあって、自社の問題点は何か、それを解決するにはどうすればよいか、に各社各様の取り組みをしています。
経理部門は監査を受ける立場にありますが、会計監査については特に深い関係があるので、監査についての知識が必要です。
監査とは、ある目的のために(監査目的)、ある人が行った業務に関し(監査対象)、その人と利害関係のない第三者(監査人)が、その業務に関する客観的な資料(証拠)を人手して業務結果を把握し、監査目的から派生する基準に照らして業務結果の当否に関する自己の意見(監査意見)を形成し、その結論を依頼人に伝達する(監査報告)ことです。
簡単に言えば他人のやったことを調べることです。
監査をオーデットといいますが、中世の西欧で荘園主が執事のやったことをインチキをやっていないか聴いたことから出ている言葉です。
なぜ監査が必要なのでしょうか?考えてみれば悲しい人間の性とも言えますが、人間は自分に都合のよいように事を運ぶものだから、その人に委任された仕事を本来あるべきようにやったかどうかわからないと考えることに根拠があります。
確かに現実にそうしたことが起こっています。
赤字なのに黒字に見せかけるといった粉飾決算はその例です。
自分勝手なことをやっても、他人に迷惑がかからなければそれでもいいのですが、事柄が公の社会秩序を乱すとか、人間の社会生活に害を及ぼすということになれば、許しておくわけにはいきません。
それを防ぐには、やった本人と利害関係のない第三者が事後に調査することです。
ここで大事なのは利害関係のない第三者ということです。
本人がどんなにまじめでも当事者ですから監査人にはなれませんし、本人がきちんと仕事をやっていますと言っても、それを信用しないということです。
第三者の調査によって本人が適正に処理をしていることを証明するのです。
そこで第三者である監査人は、本人とグルになっていないことが必要条件です。
監査人と被監査人が血縁関係にあったり、経済的援助を受けたりしていると、どうしても情実に流れやすいので、会計士監査ではそうしたことも利害関係として規制されています。
次に監査人は客観的な証拠によって本人の業務の適正なことを確かめなければなりません。
単なる本人の陳述だけでは証拠になりませんから、あれこれ客観的な資料を要求することになります。
監査人は自ら証拠を人手して自分の意見を形成します。
株式会社の監査には商法に基づく監査役の監査、大会社については会計監査人の監査があり、上場企業などでは証券取引法に蕎づく監査法人ないし公認会計士による監査があります。
小会社の監査役は会計監査、中会社の監査役は業務監査と会計監査、大会社の監査役は業務監査を行います。
大会社の商法による会計監査は公認会計士または監査法人が行います。
このように各種の監査がありますが、それぞれの監査目的によって監査人は監査意見を形成し、監査報告書でそれを表明します。
現代監査は、何か悪いことをやった場合、事後に監査をするというのでなく、制度として監査するのです。
そうすることで不正発生の予防にもなります。
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